「狭い範囲だけど、日々の社会との触れ合いの中で思うこと」

自分が社会と触れ合った範囲内のことですが、思ったことを忘れないよう書き残したい

着物のしつけ糸を取りながら

もうすぐ前撮りの日。重い腰をあげて、レンタル会社から送られてきた箱を開け、たたみじわを伸ばすため着物を吊るしておく準備をしている。

しつけ糸を取ってお持ち下さい、とあるので、まずその作業。着物を吊るすのはいいとして、持っていくために同じようにたためるか不安だ。

どうして子供の成人式のための準備をウキウキした気分でできないのか、前撮りは3日後なのに今まで箱を開けなかったのか。今、改めて分かってきて、涙が出そう。

私自身、地元に「成人式⭐️一緒に行こう」という友人がいなかったんだった。だから大学のある関西から地元に帰らなかった。両親からも「成人式だね」「お着物どうする?」というやりとりはなかった。成人式にお金をかける代わりに、寮を出たいので、そのための敷金などの諸費用を出してもらうよう、こちらからお願いしたのだった。

成人式当日、何をしていたか覚えていない。寮にいたかな?そのとき、同級生はみんな地元に帰って寮にいなかったか、1人か2人は残っていたのか、何も覚えていない。

成人式を「晴れがましい」「とてもおめでたいこと」と思えないのは自分が経験していないからだろう。

レンタル会社の広くて清潔なフロアで着物を選ぶ時も、心の中に喜びが溢れなかったのは、どちらかというと忘れてしまいたかったからだろう。

こんな風に思い起こさせられるとは。

自分できものレンタル会社を探してきて、成人式に着物を着ること、中学の友人に会うことを楽しみにしている子供の気持ちに寄り添わなければならない。心から寄り添わなければ当日のふとした時に顔に出てしまいそう。

そのために太らないように気をつけて、肌の手入れに余念がない、子供の気持ちに。着物に合わせてネイルまで注文した子供の気持ちに。

「持っていれば何かと使えますよ。お呼ばれの時や、友人の披露宴などで」と買取を勧められたけど、断固拒否、レンタルでお願いします。管理できないので。と拒絶してしまったのも、成人式アレルギーみたくなってしまっていたのだろう。

今しつけを取りながら、「家で吊るしたあと、当日朝に着付けに持参する時に、元通りにはたたむことができませんが、いいですか?」とレンタル会社の人に問い合わせしようと思っている。

まさか!

しつけ糸を取っている最中に「ブログに残しておこう」と思うことになるとは、10分前まで想像していなかった。

泣きながらしつけ糸を取ることになるとは、また、こんなに多くのしつけ糸が付いているのも想像できなかった。